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GORO NAKAGAWA
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NAOBUMI OKAMOTO
Dig-Music Gazette - bootleg
25年目のおっぱい
その日、僕と五郎さんは、早ければ今年始まる再開発で消えていく那覇の農連市場の橋の上で「同じ目の高さで」の収録を終え、上機嫌で栄町市場へとやって来た。
一時は寂れてしまった栄町市場も今は昼間はおじーやおばー、夜は若者達を中心に再び賑わいを取り戻している。
沖縄生まれで下北沢周辺に長く住んだホールズが数年前に沖縄に戻ってきて開いた「サワディー」でのライブは沖縄ではめずらしくオンタイムで始まる。
まずはホールズが何曲か歌い、五郎さんへとバトンタッチ。
60代のラブソング「言わなくていいよ」から静かに始まり、ジャック・ブレルのカバー「瀕死の人」、福島に留まる人と離れる人のことを歌った「二倍遠く離れたら」などを歌い、「一台のリヤカーが立ち向かう」を熱く、「ミスター・ボージャングル」では踊りながら歌った。
ホールズのエレクトリック・ギターと共にルー・リードの「ビック・スカイ」を激しく歌い終えた後のアンコールで歌ったのがこの「25年目のおっぱい」だ。
僕もそうだったけれど、このおっぱいの歌が、この日五郎さんの歌を聞きに来てくれた人の心を捕らえた。 極私的な出来事を真っ直ぐに社会に投げ出して歌う時に、それは五郎さんの出来事ではなくなって聞き手の出来事と重なり合う。
35年以上前に作った歌を昨日の出来事のように歌う五郎さんをぜひご覧下さい。
※今回は新作リリース前の"bootleg"バージョンです。
岡本尚文